みずたに探究室。 ゆる〜いアスリートの日々の気づき

ひっそりと生きているアスリートが、日々の気づきや探究結果を公開しています。以下、絶賛連載中! "日本一ゆるい陸上選手の〜"シリーズ ①エッセイ『アスリートが社会のレースから降りてみた』 ②生き方提案『心が軽くなるネコ型お気楽ライフのすすめ』 ③指導の哲学『心を殺さない指導 脱・勝利至上主義』 ④走りの哲学『走りの3種の神器 -腹圧・乗り込み・重心移動-』

<<<旧記事>>>【"東京オリンピック"と"引退"】前半

東京オリンピックと引退

東京オリンピックを区切りに引退するアスリートは、果たして日本だけで一体どれだけいるのだろうか。陸上競技に携わる自分の周りだけでも、東京オリンピックのために引退を先延ばしにしていた選手は少なからずいる。そしてその舞台すら奪われた今の心境を、我々常人では想像もできない。

今日ここでは、選手の引退を間近でみてきた自分の"アスリートの引退"に対する持論と"引退する選手に、生き様をさらけ出して欲しい。"というメッセージを述べていきたいと思う。

"引退する前に、生き様をさらけ出して欲しい。"

これが自分の願いだ。理由は以下3つ。
①その方が、その選手を好きになれるから
➁そうすることで、日本が変わる気がするから
➂その方が、その選手が幸せになれるから

これを順に述べていきたいと思う。

理由➀"生き様を出す選手を好きになるから"


まず1つ目は、個人的な理由である。

芸人も歌手も生き様が大事

生き様とは何かを説明するうえで、お笑い芸人を比喩に挙げさせてもらう。
売れる芸人に関して、一発屋で終わる芸人と、売れ続ける芸人がいる。
その両者の差は、人としての生き様を見せているかどうかだと思っている。
"芸人"という言葉は、"芸"と"人"の2つから構成されている。
芸人として究極の状態は、"その人がそのネタをやるから面白い" "その人以外がやってもそこまで面白くない"という、"芸"と"人”の部分がマッチした状態であると思っている。
一発屋で終わる芸人は、前者の"芸"だけが優れている芸人であることが多い。ギャグやネタのフレーズなどが爆発的に流行るが、ブームが落ち着くとともにメディア露出がなくなる。逆に"人"だけが優れている芸人は面白いネタがかけなくても、いじられ役やドッキリスターとしてテレビに出続けている。"人"としての部分が人々に与える影響は大きい。
芸人の例えがしっくりこない場合は、歌手で例えてもいいだろう。
"他の歌手がカバーしても原曲は越えられない!"と認められる状態が歌手として1番いい状態であると個人的には考えている。子どもが浮気の歌を歌ったとして、そのギャップから1発当たることはあるかもしれないが、売れ続けることは難しいだろう。
歌がうまくても売れない歌手がいるのに、歌が下手でも何故か惹きつけられる歌手がいるのは、歌の技術より"人"としての部分が、より求められているからだろう。

例えが長くなったが、なので個人的にはアスリートにも"人"としての部分を見せてほしい。ランナーであるならば、"走者"の"走"の部分だけでなく"者"の部分が見たいのだ。"どう走るか"も楽しみだが、"誰が走るか"といった部分も楽しみたい

陸上競技は、生き様を見せずに引退する選手が多い気がする

陸上競技に関していえば、陸上競技はその競技特性から、25歳くらいまでの若者が活躍しやすいスポーツだ。酸いも甘いも経験した30~40代が第一線で活躍するケースは稀である。

それはそれでいいのだが、なぜかひっそりと引退する選手が多い気がする。故障が原因で引退するケースが多いからか、"ここはもう自分の居場所じゃない"と思ってしまうのか、"まだ終わりたくない!"と心の叫びを前面に出すようなベテランランナーが数少ない。『今まで応援ありがとうございました。皆さんのおかげで幸せな競技人生になりました。次のステージでも・・・』といった常套句の挨拶が多いように感じる。個人的には、"本音言うとまだまだ走りたかった!でも怪我でどうすることもできなかった!"といった言葉が聞きたい。もしかすると、その意志を継ぐ現役選手が出てきて競技が活性化するのではないかとさえ思う。

イチロー松坂大輔・ミスターSASUKE 山田克己

30代以上の選手というと、野球では『松坂大輔イチローといったスター選手が"俺はまだやれる!"と現役を続行し、"落ち目なんだから引退して若者に席を譲れ!"  "給料泥棒!"などと野球ファンからいわれるも折れず、ついにはその人たちからも応援され始める』といった現象が起きる。ミスターSASUKE 山田克己を彷彿とさせる。あの執念を目の当たりにすると、一定数以上の人間は応援したくなるものだ。陸上競技の"執念"といえば箱根駅伝だ。"仲間のために襷を繋ぐ"という執念が国民に受ける要素の1つになっている。甲子園人気とも繋がるが、"卒業とともに引退"という縛りがあるから学生スポーツの人気は根強い。
もし陸上選手で"まだ引退したくない!老いに負けたくない!"という執念・生き様を隠さずさらけ出せる選手がいれば、自分はその選手から目が離せなくなると思う。きっと小さな大会の結果すら追いかけてしまう。だから生き様をさらけ出してほしい。(個人的な欲を言えば、人の文章を読むのが好きなのでブログなどで発信してくれたら嬉しい。もしくは自分が聞き手になって対談し、アスリートの本音を探る映像やラジオを配信してみたい)

人の人生が垣間見えると、その人を好きになる。だからアスリートには生き様をさらけ出してほしい。

次回の記事では、引退前に生き様をさらけ出すことで、"日本が変わる気がする"&"その選手が幸せになれる"という内容について述べる。

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