みずたに探究室。 ゆる〜いアスリートの日々の気づき

ひっそりと生きているアスリートが、日々の気づきや探究結果を公開しています。以下、絶賛連載中! "日本一ゆるい陸上選手の〜"シリーズ ①エッセイ『アスリートが社会のレースから降りてみた』 ②生き方提案『心が軽くなるネコ型お気楽ライフのすすめ』 ③指導の哲学『心を殺さない指導 脱・勝利至上主義』 ④走りの哲学『走りの3種の神器 -腹圧・乗り込み・重心移動-』

<<<旧記事>>>【共学で学んだ、笑いにおける『フリ』の大切さ】

いつの時代も、女は男よりコンプライアンスに厳しい。

だから、男子高校生がノリでやったことに対して、『ひどーーい』 『かわいそーー』 『ありえなーーい』 『なんでそんなことするの!?』と、すぐに引いてしまう。

これは、"いきなり訳のわかんない言動をする芸風"の自分にとっては死活問題だった。

姉がいる自分は、女子がどこで引き始めるかのラインをおおよそ感覚として把握していたため、"自分が頭に思い浮かべるやりたいこと・言いたいことの全てが引かれる"という悲しい現実を理解していた。

なので、男子しかいない部室以外の場所では喋るスイッチを極力オフにしていた。

スイッチをオンにしようものなら、自分が面白いと思ってやった言動で、場の空気が凍りつくからだ。

それだけならまだしも、女子と同様もしくはそれ以上にコンプライアンスに厳しい教師が怒り出すので、いつしか部室以外の場所ではっちゃけなくなっていた。

それでもたまに気を抜いて教室でふざけてしまった時の、『水谷いきなりどうしたの?』という女子の冷ややかな目線は殺傷能力抜群だ。

 

ここで、タイトルにある"お笑いにおける『フリ』"の話をしよう。

『フリ』をかんたんに説明すると、その後のボケを分かりやすくするための助走である。もしフリ無しで変なことを言った場合"いきなり変なことを言い出す危ないやつ"になってしまうが、フリを作っておくと"面白い人"に変わるのだ。

例を1つ出そう。

僕の芸風の"いきなり訳わかんないことをする"の最たる例が、SNSにあげる動画を撮っている友人に向かって、低い良い声でハッキリと下ネタの単語を言うことだ。

そうすると、"動画載せれなくなっちゃったじゃん!!!"と男たちは大盛り上がりする。

逆に女からは"頭のいかれたヤバいやつ"というレッテルを貼られる。

これに助走となる『フリ』をつけるとどうなるか。

この場合は、まず自ら『今日は○○の誕生日だから、メッセージ動画を撮って送ってやろうぜ!皆で最高の誕生日にしてやろうぜ!』と振るのだ。

これによって"良いやつ"を印象付けられるため、その後に来る"ヤバい言動"を際立たせる準備が整った。

そして、メッセージ動画を撮っている最高のタイミングで、低い良い声でハッキリと下ネタを呟くのだ。

そうすると、『いや、お前がやろうって言い出したのに!!』と自然にツッコミと笑いが生まれる。フリがあるとツッコミが生まれ笑いやすいのだ。

フリを作ったことで、"いきなり変な言動をするヤバいやつ"が"計算してボケる面白いやつ"に変わるのだ。

つまり"意図して笑いを作れる常識のある人"として見られるのだ。なのでコンプライアンスに厳しい女子も受け入れてくれるのだ。(ちなみにこの場合は下ネタを言っているのでそもそもアウトです)

 

フリを作ると、自然とツッコミが生まれる"分かりやすいボケ"になる。

これはゴールデンの時間帯の番組に出るお笑い芸人には必須のスキルだ。売れ始めの劇場上がりの若手芸人がフリ無しで変な言動をし、場を白けさせるシーンをよくテレビで目にする。それをやってしまう気持ちが自分にはよくわかる。

なぜなら、笑いのセンスのない人にも伝わるようにレベルを下げた"分かりやすいボケ"が嫌いだからだ。笑いのセンスのない人のためにボケを分かりやすく解説してあげる"ツッコミ"という行為も好きではないからだ。

そもそもツッコミという文化は関東にはないので、東京出身の男たちにとっては、『お互いが笑っちゃって言葉が出なくなるまで延々と変なことを言い合う』ことこそ、1番楽しいのである。"今から投げますよー!行くよー!"などと宣言せずに、ノーモーションで豪速球やキレのある変化球を投げ合いたいのだ。

グローブを構えていない人にボールをぶつけてケラケラ笑いたいのだ。そしてそれを面白いと思って、もっとキレのある球を投げ返してくる仲間を欲しているのだ。

"場を成立させるためにフリを作る"のか、"自分が面白いと思うことだけをやり続ける"のか、いつもそのバランスに苦しむ。

100人を笑わせるのか、1人を笑い死にさせるのか。そのどちらがお笑いなのだろうか。それともどちらともお笑いなのだろうか。それが長いこと分からなかった。

でも最近、その謎が解けてきた。

(次回に続く)

 

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