みずたに探究室。 ゆる〜いアスリートの日々の気づき

ひっそりと生きているアスリートが、日々の気づきや探究結果を公開しています。以下、絶賛連載中! "日本一ゆるい陸上選手の〜"シリーズ ①エッセイ『アスリートが社会のレースから降りてみた』 ②生き方提案『心が軽くなるネコ型お気楽ライフのすすめ』 ③指導の哲学『心を殺さない指導 脱・勝利至上主義』 ④走りの哲学『走りの3種の神器 -腹圧・乗り込み・重心移動-』

【燃え尽きる学生が生まれるメカニズム 】

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-POINT-
◎人にはAタイプ(犬)とBタイプ(猫)の2タイプがいる
◎それぞれに合った頑張り方をすべき
◎BタイプがAタイプの真似をするから燃え尽きる
◎それは日本の教育が原因
◎自分を変えずに自分を知って欲しい
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-INDEX-
❶人の頑張り方は大きく分けて2タイプ
 ●モチベーションが違うAタイプとBタイプ
 ●Aタイプの頑張り方とBタイプの頑張り方

❷燃え尽きる人は、BタイプなのにAタイプの頑張り方を強制させられている人
 ●燃え尽きの諸悪の根源は日本の教育
 ●そして燃え尽きるBタイプ

❸Bタイプが燃え尽きないために
 ●自分を変えずに自分を知ろう。そしてやり方を変えよう。
 ●とある学生アスリートのエピソード
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❶人の頑張り方は大きく分けて2タイプ

〇モチベーションが違うAタイプとBタイプ
Aタイプは、一般的にいわれる"ストイックの人"をイメージしてもらえればよい。結果に対して貪欲で、正しい努力をコツコツと続け、最短距離で頂点に上り詰めようとする人だ。本田圭佑選手や大迫卓選手、武井壮さんなどがそう見える。

Bタイプは、名誉や賞賛などにはあまり興味がなく、一見するとやる気がないように見えるが、自分の興味があることはとことん追求し、長時間深く集中できるタイプだ。マラソン設楽悠太選手、嵐の大野君などがそう見える。

このAタイプとBタイプはモチベーション(原動力)が異なる。
Aタイプは"勝利の味" "社会的称賛"を好み、その『欲望を満たす』ことをモチベーションにしている。目の前にぶら下がったご褒美・ニンジンに向けて全力で頑張れる。
競争を好み、衝突を嫌がらず、結果に貪欲だから辛い努力にも耐えることができ、周囲からはストイックに見えやすい。

Bタイプは『好奇心を満たす』ことをモチベーションにしている。好奇心を満たしたいだけなので、勝利にはそこまで興味がない。また、好奇心を原動力に行動するため、努力を辛いことと思わないため、周りから見ると余力を残しているように見える。

AタイプとBタイプのモチベーションの違いは理解いただけただろうか。このように、前提として求めるゴールやスタートを切った理由が違うため、当然適した努力の仕方も異なる。AタイプはAタイプに合った頑張り方を、BタイプはBタイプに合った頑張り方をしていくことが大事になってくる。


〇Aタイプに合った頑張り方とBタイプに合った頑張り方

Aタイプは結果を出さないと気が済まないため、ゴール目標から逆算して、科学的に根拠のある努力を最短距離でしていくことが合っている。そのために自分が使える人脈などを駆使して、妥協せずに最高の環境を追い求めていくと良い。自分ついサボってしまわないように、監視役のコーチを付けるのもいいだろう。

対してBタイプは結果にはストイックではなく、知的好奇心を満たしたい特徴がある。なので目標から逆算して最高の計画を立てるのは向いていない。なぜなら、立てた計画を機械のように淡々となぞっていく行為は一切好奇心を満たせず、苦痛でしかないからだ。

Aタイプが最短距離を進むのであれば、Bタイプは"こっちの道が気になるから、ちょっと寄ってみよう"と回り道を楽しむ方が合っている。回り道の最中に誰も見つけたことのない道を見つけて、世紀の大発見をできるのはBタイプだ。回り道を自由気ままに楽しむのだから、仲間はいない方がいい。1人のほうが身軽だからだ。また、放っておいても勝手に努力をするタイプなので、監視役もいらない。

ここまで書いてきて、Aタイプは管理生活が合っている犬タイプで、Bタイプは自由な生活が合っている猫タイプに見えないだろうか。

ではここで、猫タイプに犬のように振舞うように強制したらどうなるか考えてみてほしい。
例えば、猫に首輪をつけ"こっちに来い"と引っ張ったり、ご褒美のためにお手やお座りをさせるのだ。ストレスでおかしくなってしまわないだろうか?
このように、本当はBタイプ(猫)なのにも関わらず、Aタイプ(犬)の頑張り方を強制させられている人が、燃え尽き症候群になっているのだと私は考えている。
ここから本題に入っていく。

❷燃え尽きる人は、BタイプなのにAタイプの頑張り方を強制させられている人

〇燃え尽きの諸悪の根源は日本の教育
実は日本の教育はAタイプ(犬)の生き方しか求めていない。
・やりたくないことでも黙々とコツコツできる人間
・教科書の順番通りに勉強を進める人間
・褒めたり叱ることで頑張る人間

Bタイプ(猫)に合っていることは真逆だ。
・興味のないことはやらず興味のあることをとことん追求したい
・気になることがあれば遠回りになったとしても回り道したい
・褒められたくも叱られたくもない、放っておいてほしい

しかし日本の教育には、"らしさ"を強要する教育&"人は努力で変われる"という考えに基づく教育という2つの特徴があるため、Bタイプの生き方は否定され矯正されてしまう。

どういうことかというと、まず日本は"らしさ"を求める風潮がある。
"最上級生なんだから"  "キャプテンなんだから"  "お姉ちゃんなんだから"  "大人なんだから" "男なんだから" と常に何かしらの"らしさ"を求められる。教師だって一生懸命"教師らしさ"を演じているのだ。
日本ではその人自身の性格や特性は無視され、求められた"役割"を演じることが重要とされる。
そして、日本における"学生らしさ"はAタイプ(犬)の生き方をすることなので、例えBタイプ(猫)の生き方が合っているとしてもそれは許されないのだ。

さらに厄介なことに、日本には努力神話がある。"努力によって人は変われる"という考えが根付いているので、求められた"らしさ"を演じられてない人は"努力が足りない"と認識される。
そして、"お前なら変われる!変われば幸せになれる!頑張れ!諦めるな!"と、最後は根性論を押し付けてくるのだ。

 

〇そして燃え尽きるBタイプ(猫)
この"本来の自分の否定"を教師や親からされたらどうだろうか。その子どもは"このままじゃダメだ"と本当の自分を自分自身でも否定するようになり、自分に鞭を打つようになる。頂点を目指しているようなフリをして自分自身を騙したり、楽しくもない合理的な努力を淡々として、"これが正しいんだ"と自分自身を説得する。

しかし人としての本質は変わらないため、勝ちに興味がない自分や、意味のない回り道をしたくなる自分がしょっちゅう顔を出し、そのたびに本当の自分を心の奥底で殺してしまうのだ。そうすると自己肯定感が下がり、さらに結果が出たとしても、結果を求めていないので嬉しくもなく、訳が分からなくなり燃え尽きるのだ。

さらに怖いことに、日本の学校・スポーツ・会社においては、"頑張っている姿"が評価されることが多い。
Bタイプ(猫)の頑張りは周囲からは"変なことをしているやつ"  "勝つことに興味がない"とみられがちなので、内申を下げられたり、レギュラーから外されたり、評価を下げられたりする。
なので余計にAタイプ(犬)の真似をするようになる。

 

これが燃え尽きる学生が生まれるメカニズムだ。
自分にムチを打ち、自分を追い込んでいる人は、結果にストイックなように見えるが、実は全然ストイックじゃない。これはBタイプが無理にAタイプのやり方を真似しようとしている状態で、本人は苦しいし本人やチームの成長や結果にも結び付かない。大人の言うことを聞くことを最優先し、その犠牲として成長を捨てている。さらに心まで犠牲にし、燃え尽きてしまう。大人がBタイプの邪魔しなければ、本当はもっとのびのびと楽しく、しかも結果を出せるにも関わらずだ。

 

❸Bタイプが燃え尽きないために

〇自分を変えずに自分を知ろう。そしてやり方を変えよう。

Bタイプ(猫)が本来の自分を変えようとすると、燃え尽きてしまう。
これにもし心当たりがあるのであれば、以下のことをやってみてほしい。
まずは自分を深く知ることだ。

勉強も部活も自分を変えるためにあるのではなく、自分を知るためにある。
"自分はこういう時は頑張れるな" "自分はこうなると萎えちゃうな"などと、自分でも知らない自分をまずは発見することだ。そして、それがもし仮に教師や大人に"そんなんじゃダメだ!"と叱られるような性格だったとしても、"生まれつきこういう性格だからなぁ"と開き直っていい。

"そんなことしてたらレギュラー外されちゃう!監督から長々と説教をくらう!"という子は、監督や厳しい先輩の前ではイヌ型のフリをしていい。ただ、絶対に自分で自分を否定しないことだけは約束してほしい。"周りからは理解されないが、このやり方が自分にとっては最適なだけで、自分だって結果に対してストイックである。"と自信を持って胸を張ってほしい。


〇とある学生アスリートのエピソード

Bタイプ(猫)の例として、私の印象に残っている選手の話をしたい。
一般的に大学生以上の陸上選手は、3月頃に暖かい九州や沖縄で合宿をすることが多い。その選手が所属するチームでは"合宿への参加は有志"ということになった。

このときにAタイプ(犬)の選手は"暖かくて質の高い練習ができるのだから、当然合宿には行きたい"となる。そしてAタイプ(犬)のフリをするBタイプ(猫)の選手は、"行かなきゃやる気のないやつと思われるから、当然行かなくちゃいけない。"と義務感で参加する。

しかし、私の知り合いのBタイプ(猫)の選手は、"今年は暖冬だから、合宿に行かなくても十分に質の高い練習ができる。また、自分の場合は合宿に行ったら観光ついでに美味しいものを食べ過ぎて太ってしまうので、むしろ行かない方がいい。"と言ったのだ。
私は"なんと自分のことを理解して、結果にストイックな選手なのか。"と思った。
"行かないなんて言ったら怒られるだろうなぁ。"などと考えることが恥ずかしくなったのを覚えている。

Aタイプ(犬)のストイックさ・勝利への貪欲さに憧れて自分を騙したり自分を否定して努力する選手は、いわば"本当の自分から目を背けている選手"である。そして先ほどの選手から学べることは、"本当の自分から逃げずに直視すること"である。そうすると常に自分軸で考え、最適な手段を選べる。

どちらが成長できるかは、火を見るよりも明らかだ。
以上、参考になれば嬉しい。

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-POINT-
◎人にはAタイプ(犬)とBタイプ(猫)の2タイプがいる
◎それぞれに合った頑張り方をすべき
◎BタイプがAタイプの真似をするから燃え尽きる
◎それは日本の教育が原因
◎自分を変えずに自分を知って欲しい
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